読書日記
楡周平さんの『食王』を紹介します。
外資系企業出身という異色の作家さん、デビュー作『Cの福音』は強烈なハードボイルドで、「平成の大藪春彦」という異名をとられました。
近頃は綿密な取材をベースとした企業モノや経済モノを中心に書かれています。
今回は外食業界で成功し、引退も視野に入ってきた創業者が、起業時お世話になった仕入れ先から、港区のビルを買い取って欲しいと相談を持ちかけられる事が発端となります。
これが曰く付きの物件で・・
外食産業を取り巻く環境の変化、地方の疲弊、後継者問題、等が複雑に絡み合い、テンポ良く、爽快に物語が展開します。
楡さんの作品の特徴は、いつも登場人物が非常に魅力的な事。ああありたい、とさえ共感すること頻りです。
外食、観光産業を直撃しているコロナ騒動の中、ますます興味深い一冊だと思います。